2019.12.04

広報室

日本のテクノロジーは世界に遅れをとっている 〜Inspiart事業本部 エンジニアインタビュー企画第2弾 後編〜

みなさん、こんにちは!EYS-STYLE広報の泉です。

本日は、Inspiart事業本部のエンジニアインタビュー企画第2弾の後編をお届けします。

★前編はこちら

最近のYahooとLINEの統合の報道などでも、よく耳にする「日本はテクノロジーで世界に遅れをとっている」という言葉。EYS-STYLEに所属する外国人エンジニア3名に「日本の遅れとはどのような状況を指しているのか、日本と海外は何が違うのか」を具体的に聞いていきます。

教育から違いを考える

前編は、進まない産学連携や少ない研究開発費、優秀な人材の海外流出など、政府や企業の問題を中心にお話ししました。

後編は、まず始めに教育環境について取り上げてみたいと思います。日本と海外の大学生では、どんな違いがありますか?

アレックス:

大学にもよるし、人にもよるけれど、日本の大学生は「大学生活=遊び」だと思っている傾向がありますよね。海外では大学生は勉強しかしません。とにかく、本当に鬼のように勉強します。

張:

僕も大学時代、留学で2カ月間アメリカの大学に行ったんですが、本当に、みんなめちゃくちゃ勉強していました。

最初、教科書を見たときは「こんな簡単な問題も解けないの?」と思ったんですが、後半になると「ここまでやるの!?」と驚く。たった1年でこんなに進むのかと、本当にびっくりしました。覚えることも多いし、課題もめちゃくちゃ多いです。

アレックス:

試験も全然違いますよ。日本の大学の試験は、暗記タイプの試験が多いです。なので、過去数年分の問題を見ていたら、全く同じものが出てきたりしますし、理解していなくてもパスできてしまう。

例えば、ロシアの大学は口頭試問です。教授が半年の講義内容に基づいて、課題を出題します。学生は考えを紙にまとめる時間を30分与えられ、そのあと教授との口頭試問になります。授業の内容を理解し、自分で考察できないとパスできません。

キム:

シンガポールの修士論文では、他の大学の教授を呼んで口頭試問がありました。他大学から第3者を呼ぶ修士論文のディフェンス(口頭試問)は、日本にはないと思います。これは学位に対する姿勢の表れだと思います。海外は「この大学の博士号をとった人は信頼に価する」という、学位に対する保証が社会に浸透しています。

それは、教育の質にも還元されていると思います。海外の大学教授は、学生への教育も仕事として厳しく捉えられているので、手抜きの指導は許されません。学生が指導教官を評価する制度なんかもあります。もちろん、日本でもしっかりとやっている大学もあるとは思いますが、正直学生への興味がなく、適当な授業をしている教授もいますね。

確かに、日本は「大学入学がゴール」というような考え方があって、学生を採用する企業側も、勉強してきた内容や成績はあまり重要視しない傾向がありますね。

アレックス:

それは、海外ではありえないです。日本では、大学で専門的な知識を身につけても、就職の際にはあまり意味がないように思います。会社に入ってから、研修で専門性を身につける感じですよね。

キム:

就職活動でも、大学で何をどのように頑張ったかを面接で聞かれますよね。研究にしろ、アルバイトにしろ、大学で何かを頑張ったという過程は評価してもらえるし、それができる能力を持っていることはもちろん素晴らしいが、確かに専門性は重要視されていないと思います。

分かりやすい例として、海外は絶対に就職試験の時に、大学の成績表でGPA(評定平均値)を見られます。エンジニアやプログラマーはもちろん、それ以外の職種でも必ず提出を求められますし、合否にもそれなりに影響する。「成績が低いから採用したくない」とか。しかし日本の就職試験は、大学の成績は見ないことが、ほとんどではないでしょうか。

日本企業は学生に甘いのかと思っていましたが、逆に言えばあまり期待していないということなのでしょうか。

キム:

いや、僕個人の考えとしては、終身雇用の文化があるからだと思っています。企業がその人の一生の面倒を見る文化があったので、自社の企業文化に染め上げるためにも、かなりしっかりとした研修がある。そして、研修の後は毎日飲み会があったり(笑)

しかし、最近は企業にその体力がないので、変わっていくと思いますよ。日本企業のエンジニアも、新卒からの青田刈りが増えてきました。新卒から700万〜1000万円クラスの年収がもらえるとか。実際にアウトプットが出せる学生なら、良いんじゃないかと思います。

張:

使えるプログラマーになるには、1万時間の訓練時間が必要だとよく言います。例えば、大学4年間で毎日コーディングしていたら、1万時間は余裕で超えることができると思います。しかし、社会人になってから1万時間やろうと思ったら、かなり期間がかかります。人によっては高校とか中学から、コーティングをやっていますから、少なくとも訓練時間は、そこらの社会人プログラマーよりずっと多い。そこまでできる人材であれば、1000万円は十分もらう価値のある人間だと思いますね。

国家的危機に気付かない 〜今の日本は日清戦争の頃の清王朝!?

政治や企業だけではなく、未来を担う学生たちから大きな差がついているというのは、危機的状況だと思います。もちろん、すでにその状況に気づいている人もいるわけですが、一般的には気づいていない人が大半ではないでしょうか。

今後、日本は変わっていけそうですか?

キム:

変わらないと生き残れないというのが正しいでしょう。内需が逼迫しているので、外需を取る必要がありますが、そのためには海外製品と戦えないといけません。海外でものを売る場合、外国のものを仕入れて売ることはできないので、自国で開発するしかない。でもそれができないと…

張:

まさに国家的危機ですね。でもみんなそう思っていない。

キム:

日本人が気づかないのは、日本が円を刷り続けて、借金まみれにもかかわらず毎日食べていけるからですよ。そのお金がどこから来ているのか分からないけど。これが、貯金もなくなって「いよいよ食べられなくなってきた、やばい!」ってなると…

張:

そこまでいかないと、大半の人は気付かないのかもしれませんね。

今の日本を見ていると、日清戦争の頃の清王朝に似ているな、と思うんですよ。その昔、清王朝は非常に繁栄していたんですが、その過去の繁栄にしがみついて、内部の問題にずっと目をつむっていたんですね。実際には、すでに世界に遅れをとっているのに、その事実に気づきたくなかった。

日清戦争の時、一応清にも、すごくお金をかけて作った艦隊とかもあったんです。でも、技術も遅れているし、最後は意識の差もあって日本に負けた。「やばい」っていう危機意識がないんですよね、あの時の中国って。清がえらい、日本みたいな小国が勝つのは、なにかズルしたに違いないって思い込んでいて。実際に負けているのに、遅れているのに、危機に気づいていない。一度ピークを迎えて下に転がり落ちる社会の、典型的なマインドセットなのかなと思います。

※引用元:Wikipedia日本語版「清」https://ja.wikipedia.org/wiki/清 2019年11月29日19時現在での最新版から取得

さっきの大学の話もそうです。良い大学を出て大企業に就職すれば大丈夫、清王朝に置き換えるならば、科挙に受かって官僚になればあとは踏ん反り返って甘い汁を吸えば良いという考えに、似ているなって思いますね。

清王朝のあとの中国の軌跡を考えると、日本もかなりきついかもしれません。

今や人生100年時代ですが、自分が生きている間に、そんな危機が本当にやってくるかもしれないということに、大半の人は気づいていないかもしれないですね。

張:

日清戦争の頃の日本は、どこの分野でも海外の良いところを見て、必死に学ぼうとしていました。高度成長期後の日本はどうかというと、何を見ても「日本の方が優れている」と思ってしまう。そういう社会は進歩しないです。

キム:

なんだろう、豊かになりすぎたんですかね。

張:

今でも暮らしやすい国ですよね。

キム:

今は問題なく生活していても、これから経済が発展せずに収入が徐々に減っていって、でもインフレは進んで、ものが買えなくなる時が来るかもしれません。

張:

だって僕が学生の時は白菜1個が100円とかで、それだけで 4食は作れたけど、今は100円で1/4カットとか。1食分ですよ!カットフルーツも昔は300円出したら、色んな種類が入っていて豪華だったのに、今は全然質素…(笑)

楽しくないと開発は進まない 〜苦しくないと仕事じゃない日本人!?

ところでみなさんは、数ある企業の中から、なぜEYS-STYLEで働くことを選んだのですか?

張:

音楽を扱うのは楽しそうだったし、以前から知っているキムさんがいたというのもあります。あと、EYS-STYLEは日本のサラリーマン的な堅苦しさはないですよね。フランクに話せますし、吉岡さんは「やりたいことがあるならやってみなよ」というスタンスですから。

キム:

僕はもともと音楽の解析をやりたかったので。誰かがすでにやっている開発は、意味がないとも思っていました。自前で最先端の音楽ソフトウェア開発をやろうっていう企業は少ないです。特に楽曲の自動制作(ミキシング、マスタリング等)を開発、製品化している会社は聞いたことが無いです。

あとは、これまで大学の研究レベルだったものを、社会実装するレベルに持っていくという段階に関われることができるからですね。吉岡さんが、そこに投資したいという思いを示してくれたからです。

アレックス:

僕は信頼関係とPJTのおもしろさ。以前は音声認識をやっていたから、音楽もやってみたかったんです。僕がもともと興味があるのは、AIです。だけど、音声認識をやってみて、音楽もやってみたら、音に関する分野の問題点や課題を発見できます。

あとは、EYS-STYLEは働くスタイルが自由な点ですね。特に今は学生なので、時間の制約がある。日本でその時間でフレキシブルにしてくれるところは少ないですから。ヨーロッパだったら会議の時間以外は自由だし、それに近い環境だと思います。

やはりPJTの内容が大切ですよね。研究は、自分がおもしろいと感じる興味から始まるわけですから、もちろん仕事もその延長線上にあってほしいですよね。

アレックス:

おもしろくなかったらどうやって仕事するんですか?そんなの面倒になって、やめちゃうに決まってるじゃないですか!

張:

日本人にその考え方はあまりないですよね。仕事が楽しいと言っている人は、さぼっている人、みたいな感覚があるんじゃないでしょうか。

文化的なところは結構あると思います。僕も昔は「苦しんでいないと仕事してない」みたいな感覚がありました。中国には「刻苦学習」(Kèkǔ xuéxí)という言葉があって、勉強は苦しんでするものだと、昔から教えられてきました。

しかし、研究に関して言えば、苦しんでもあまり結果が出ないんですね。要は発想が大切なので。僕自身、超難しい計算とかをやらないと研究じゃないんじゃないみたいに思っていた時期があって、意識転換するまでに結構時間がかかりました。転換できたのは、30歳近くになってからでしたね。

何がきっかけで、意識転換できたのですか?

張:

それはもう、結果が出ないから。やはり、興味があって楽しく研究していると、新しいアイディアが湧いて良いやり方に結びつくんですね。この差が、理論研究では大きな差につながります。

結局、ノルマだと思って研究すると、大事なことを見落とすんです。キュリー夫人は事故から元素を発見しました。意外な発見というのは、ノルマでやっていると気づきません。僕自身、そういうニアミスを2、3回やってしまったことがあって、他の優秀な研究者の姿勢を見て、「勉強は苦しんでやるもの」という意識を改革しないと、前に進めないと気づきました。

若者は海外で働いてみよう

これから未来を担う日本の若者たちは、どうしたら良いのでしょうか?

キム:

とりあえず、日本だけに居てはいけないっていうことかな。

アレックス:

まとめるとそうなりますね(笑)

キム:

今、留学に行く学生は増えましたけど、就職は日本でする人が多いですよね。でも、それは本当にもったいないです。やはり海外で働いてみないと、世界は見えないから。学生をやっただけでは、わからないことがたくさんあります。

日本企業の枠組みにとらわれずに、スーツケース1個持って、海外に出ちゃえばいいんですよ。100万円くらい持って海外で就職して、最初の2年くらいは本当に大変だと思いますけど、きっと人生が変わるはずです。

まずは海外を知り、そして日本を客観視することから始める必要があるのですね。ありがとうございました!!

いかがでしたでしょうか?後編は、大学生の学ぶ姿勢や環境、そして仕事に対する考え方や価値観の違いについてお話ししてもらいました。

個人的に特に印象深かったのは「興味と仕事が結びついている、むしろ結びついていないなんて考えられない!」というお三方の意見。当たり前のことのようで、実は多くの日本人が実現できていない考え方ではないかと思います。そのためには、自分が夢中になれることを発見することが、やはり大切です。EYS-STYLEでは音楽以外の分野にも、キッズ教育事業の拡大を計画していますが、これらの事業が、日本の未来を担う人材の「興味との出会い」となることを期待したいと思います。

Inspiart事業本部には、今回インタビュー企画に協力してくれたキムさん、張さん、アレックスさんのような、優秀なエンジニアが多数在籍しています。コーポレートブログには、この3名をはじめ、他のエンジニアのブログもアップされています。Inspiart事業本部の仕事内容や環境にご興味を持っていただいた方は、ぜひそちらもご一読ください!

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