ECサイト「Otolier」リリース

Otolier(オトリエ)は、「世界の楽器工房の優れた楽器を届ける」プロジェクト。“楽器と旅する”をコンセプトに、世界中の楽器製作工房を巡り優れた楽器を発掘し、適正価格で販売をするもの。その企画立ち上げから仕掛け、運営の中心を任され、今も外部スタッフとしてEYSの事業に関わるEYS卒業生の塩崎氏に当時を語っていただきました。              

■良質な楽器をお客様に提供したい!

EYSプロデュースの楽器を製作する――そう決めたのは、EYSが取り組んで来た「楽器プレゼント」というビジネスが、一つの節目を迎えたからでした。ビジネスの性質上、プレゼントできる楽器の金額には上限があります。その中でEYSは、より品質の高い楽器をユーザに提供するために、絶えず企業努力を続けてきました。「品質」と「金額」、その両者を突き詰めていく中で芽生えたのが、「世界中の良質な楽器を日本に居ながらにして安全に購入することができるようにする」というOtolierの構想でした。

製造から検品を経なければならない多くの楽器は、流通経費がかさんでしまいます。独占販売する商社も多く、国内では、品質に見合った楽器を適正な価格で購入することは難しいのです。また、消費者にとっても「適性価格とは何か」という定義がわからないため、メーカーや販売店の広告や価格に影響を受けてしまっている状況です。さらに、調整や修理といったリペアの体制も不透明でわかりにくい現状もありました。楽器をはじめたいと思う初心者が、自分の楽器を買おうとする時、その品質、価格、対応のすべてに、不透明・不安がつきまとう状態だったのです。

■塩崎、世界の工房と楽器製作をスタート

国内のそういった現状がある一方で、世界には優れた品質の楽器を安価でたやすく手に入れることができる多くの方法がありました。そこでEYSは、ドイツフランクフルト、中国上海、アメリカアナハイム、台湾などの楽器展示会を巡り、世界中の楽器を手にし、試し、その質を検討していきました。その数1000箇所以上。そこで出会った良質の楽器を製作する工房とタッグを組み、Otolierのコンセプトを共有し楽器製作を進めていったのです。「当初、展示会へは取引先を見つけるために専門家等も含め、大人数で行きました。しかしその後工房と話を詰めていくのは自分ひとり。もちろん通訳さんも同行しますが、行ったからにはそこで得られる成果をきちんと持って帰らないといけません!大変でしたが、それを繰り返したことで、個人的には、もの事に対する時間管理と成果に対する意識が格段に上がったと感じています」と塩崎氏は振り返ります。展示会で出会い、メールや電話でやり取りを繰返し、工房を訪ね細かい打合せを行い、サンプルを幾度となくやり取りしていくのです。当時は中国へ1泊2日で行き来したことも。文化も歴史も異なる外国の人々とのやりとりだからこそ、メールや電話など遠隔でできることと、顔を合わせて行うことの見極めとタイミングの大切さを、誰よりも感じながら進めていきました。

■ECサイトの構築

プロデュース楽器の製作を進行するとともに、Otolierで取り扱う他メーカーの楽器を集め、販売サイト(ECサイト)を立ち上げました。ECサイトでは、プロデュース楽器をはじめ、あらゆるメーカーの楽器を比較検討しながら購入することをめざします。とはいえ、集めた楽器データをどのようにユーザに見せるのかが一つの壁になりました。ユーザのレベルや目的によって、提供するべき情報もユーザが楽器を選択するポイントも異なります。

楽器の見せ方にも工夫したいと360度全方向からの画像を撮影し、裏面や側面もサイト所で確認できるようにするなど検討が重ねられました。工房を訪ね、職人やプロデュースに関わった人々に取材を行ったり、その土地の空気を感じてもらうための記事や動画等も制作したりと構想は膨らみます。

実際、OtolierのECサイトはその後もトライアンドエラーを繰り返し進化しています。理想を追究して行くには、まだまだ時間が必要です。「全てのオペレーションを確立し回していくには人員はもっと必要で、自分が細部にわたり関われないジレンマがありました」と塩崎氏。多くの人に、品質も値段も良いと思える楽器で音楽をはじめて欲しい。それは楽しみながら続けていける大きな力になるはずだから――。そんな一途な想いからスタートした「Otolier」は、これからも進化し続けていきます。

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取材・文 三浦 久美子
取材・文 三浦 久美子
EYSの事業に興味を抱く外部ライター。 今後も、皆様に役立つ情報をご紹介したいと思っております

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