「社長とガチンコでやれたのは信頼関係があったから」新進気鋭のインテリアデザイナーが語る新宿スタジオ立ち上げ秘話

「スタジオノア代々木」立ち退きトラブルも収束し、深刻な資金問題までも華麗に解決したEYS。遂に、新宿スタジオの立ち上げに乗り出します。ところが、この時点でオープンまであと2ヶ月しかないというのにデザインは白紙状態。常識では考えられない極端な短納期のなか、内装を手がけることになったインテリアデザイナーに、当時のご苦労について伺いました。

■「アレに負けないものを作りたい」EYSとの出会いは突然に

ーーまずEYS、社長との出会いについて教えてください。

10年ほど前に内装デザインの会社を立ち上げ、3人くらいでやっていた頃、「スタジオを作りたいんだけどやってくれないか」と、不動産屋さん経由でEYSさんからお話をいただいたのが最初です。

結果的になにかと苦労が積み重なりましたが、僕たちとしてはなんでもやってみたいという意気込みがありました。“防音スタジオ”と聞いて強く興味をひかれ、率直に作ってみたいという気持ちになったのを覚えています。クラブなどはすでに手がけた実績がありましたが、音楽は専門ではなかったので、とりあえず、Wikipediaで調べることから始めましたね(笑)。

ーー吉岡さんの第一印象はどのようなものでしたか?

いまも厳しめですけど、当時の吉岡さんはいまに輪をかけて厳しい方だったんですよ。いわばゴリゴリの体育会系といった印象で、代々木のオフィスでは社員の方々も戦々恐々といった様子でした。しかし、そうした厳しさが吉岡さんの熱量の高さからくるものだとわかっていたので、仕事を断わる理由にはなりませんでしたね。僕らも男3人で立ち上げた会社で“ケンカ”できる準備が整っていたし、互いにスタートアップ同士で波長が合うのも感じていましたから。

ーー吉岡さんとはどうやって作業を進めていかれたのですか?

はっきり覚えていませんが、どういうデザインがよいのか、吉岡さんご自身が明確なイメージを持っていたわけではなくて。「なんかわかんないけど違うな」みたいなことをよくおっしゃるので「ちゃんと言ってください!」とガチンコでやり合っていましたね。

当時、ちょうど大手の楽器店がホールや教室を併設した豪華な仕様のビルを建てているときで、「それに負けないものを」という気概をお持ちでした。それを受けて、僕らも大いに奮起しました。熱意でつながる関係だったといえると思います。

■「イメージと違うと言われたことはなかった」“足し算”の吉岡さんと互角にやり合うための作法

ーーデザイン案は、吉岡さんのアイデアがもとになっているのでしょうか?

吉岡さんのご意見をベースに、いろいろと汲み上げていくというのが基本的なスタンスです。新宿の場合は、ホテルのラウンジのように大人っぽくて落ち着いた雰囲気というのがコンセプト。あとは大人が集うパーティーが開催できるスペースがほしいというご希望をいただいていたので、色を多用せず上品でスタイリッシュな空間を目指してデザインしています。

ただ、インテリアデザインではどう“引き算”していくかが大切なのですが、吉岡さんはどちらかというと“足し算”の方。天才肌で右脳的というか……あれもこれもとおっしゃるのに対して、「そもそもカッコ良くなくないですか?」から始まって、しつこく食い下がりましたね。

ーーデザインで吉岡さんともめることはありませんでしたか。

あとになって吉岡さんに「イメージじゃない」と言われたことは一度もなかったです。いかにも社長然としていて懐が大きいというか……。インテリアデザインは図面で表現できないことが多く、些細なことに思えても、できあがってみたら「想定と違う」となってトラブルになることが少なくないんですよ。あとで収拾がつかない事態にならないよう、普段に増してきちんと図面化するよう心がけていました。

とくに印象に残っているのはラウンジの奥にある和室ですね。吉岡さんは京都のお生まれということもあって、京風の様式にこだわりをお持ちでした。なのでこちらもちゃんとインターネットで調べて作りました(笑笑)。

■「吉岡さんは、お客さんというより戦友」最も美味しくない仕事には、やりがいだけがあった

ーー資金面・納期面ともに苦しいなかで仕事を振られたと聞いています。

話をいただいて2ヶ月後にはオープン予定だったんですよ。本来、100坪くらいあると設計や施工会社との打ち合わせ、工事だけでそれぞれ2ヶ月ずつ要するのが普通なので、最短でも4ヶ月はかかります。結果的に、前半の1ヶ月で図面を描いて、後半の1ヶ月でなんとか無事に工事を終わらせることができたんですが、実は、現場で寝泊まりしながらの作業でした。

吉岡さんはスピード感のある方ですが、当時はいまよりずっと速かった。「明日までにはやれ」って感じで、「ちょっとついていけないよ」ってくらい速い。ああでもないこうでもないと言いながらも、とにかく次の日には上げないと間に合わないという状況の連続で、毎日が説明会と作業の繰り返しでした。

ーー信頼関係がなければできないお仕事ですね。

信頼関係がモノをいうというか、もともときちんと関係性を作っておかないとダメな業界ではあるのですが、吉岡さんと仕事をする場合はとくにそうですね(笑)。一見(いちげん)ではなかなかうまくいかないと思います。

クライアントが厳しい方で納期が通常の半分。いわば最も美味しくない部類の仕事ですが、やりがいだけはありました。お互いに他にも仕事を抱えながら超多忙ななか、たえず連絡を取り合いながら、2ヶ月間を必死で駆け抜けました。当時は、「大変だ、最悪だ」としか思いませんでしたが、いまになって振り返れば、必死に取り組んだことで勉強になったと感じることは少なくないですし、なにより楽しかった。ちょっと大げさな言い方かもしれませんが、吉岡さんはお客さんというより、戦友と呼ぶほうがしっくりくるかもしれません。

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