エストニアで協力会社を探して、エンジニアの開発拠点も作る

今回の行き先はエストニアです。

 

エストニアは国家レベルでIT導入を進めてきた国で、独立前の1960年代から暗号学者を集めてセキュリティの研究を行なっていました。今や、行政サービスの99%を電子化済みで、国民全員が電子IDカードを保有、医療カルテも電子管理、土地の保有者もオンライン管理、投票もオンラインといった具合にIT先進国です。

 

さて今回は、EYSで進めているInspiartプロジェクトに協力してくれる会社がないかを探しに、そしてエストニアでのオフィス開設に伴う銀行口座開設のためにエストニアに向かいました。エストニアは国民データの管理にもブロックチェーンが活用されているくらい暗号技術で卓越していますから、Inspiartプロジェクトでのブロックチェーン応用にも是非エストニアから知識・技術を仕入れたいところです。

 

今回はドイツのフランクフルト経由でエストニアに向かいました。 ちなみにフランクフルトは、写真を撮ると後ろの店員がポーズを決めるくらいにフレンドリーな 空港です。

 

ドイツ フランクフルト空港にて
ドイツを検証

そして、エストニアにつきました。 こごえる寒さです。

 

旧市街からの眺め

銅像も寒そうです。

 

寒そうに見える Anton Hansen Tammsaare の像

 

この像はエストニアの国民的作家 Anton Hansen Tammsaare の像で、エストニアの25クローン紙幣にも描かれていた人です。 クローンはエストニアがEU加盟前に使っていた通貨の単位です。

 

最高気温は0度未満。それでも街中には素手でギターを奏でるミュージシャンもいましたから、数日住めば慣れるものかもしれません。

 

AGILEWORKS

エストニアの首都、タリンにて当社のInspiartプロジェクトに関わる開発を依頼するAGILEWORKSと商談をしました。 基本的に依頼を受けて開発を進める受託開発で、UI/UXの改善、コードレビューなどを行なっている企業です。 Windows Phone の e-Residency アプリ、 DigiDoc の開発も行なっていたそうです。

 

今回開発を依頼するにあたり、どのタイプの開発ならできるのかわからなかったので、 Ruby、 NodeJS など複数の言語の案件やサーバミドルウェア設定の案件などいくつかプロジェクトを用意していたのですが、全案件対応可能とのことでした。 難しく考えすぎました。

 

社内には書籍 Domain Driven Design も置かれており、意識の高さが伺えます。 商談中も、 DDD を連想させるワードが出てきていました。 心配することはなさそうです。 「git わかりません」なんてこともなさそうです。 成果物を見るのが楽しみです。

 

社内の写真をいくつか撮らせていただきました。 なんといっても広いです。 しかもこのオフィス、日本の東京の家賃に比べると超がつくほど安いです。

 

AGILEWORKS 社内の様子
社内にはキッチンも完備

 

実際に取引をするとなると、エストニア内では VAT (付加価値税, Value-Added Tax) が 20% 課税されます。 日本の消費税も VAT に分類されますが、日本と違って「消費税」とは言わないんですね。 今回は日本企業としての EYS と AGILEWORKS の契約ですから VAT なしでいけそうです(要確認)。

 

Swedbank

AGILEWORKS と話した後、 旧市街から見て南にある Swedbank で エストニア拠点の口座開設です。 ESTLANDING にご協力いただいて、 エストニアでの銀行口座開設を行いました。

 

当社をサポートしてくださる ESTLANDING の方々と一緒に撮影

銀行に向かったのはボードメンバーの社長、九頭龍さん、私の3人です。 ブロックチェーンが流行りだして、エストニアに来る人が増えたからなのか、銀行担当者はかなり慎重です。 ややこしいことに、当社はブロックチェーンコントラクトの開発を行なっているため、マネーロンダリングをかなり疑われました。 特に私はなにも聞かれなかったので黙っていたのですが、しばらくして担当者が「こいつなにも喋らねぇ」と不平をいう始末で……。

 

そんなこんなで2時間あれば終わるだろうと思っていたところ、全く終わる気配がありませんでした。 次にミーティング予定の入っていた私は社長と九頭龍さんを残して Swedbank を後にしました。

 

Swedbank に行った日を含めて3日、エストニアでの滞在期間が残されていたのですが、まず滞在中には審査結果が出ません。 日本に戻って1か月もあれば結果がわかることでしょう。 そのあとでボードメンバが書類とデビットカードを取りに行くことになります。

 

VAREGER

ブロックチェーンで多くの案件を手がける VAREGER にもお邪魔しました。 VAREGER はエストニア以外の国にもオフィスがあり、またエストニア内にも複数拠点があります。 VAREGER の CTO は PlatinPropy で ブロックチェーンアーキテクトも務めています。

 

タリンの旧市街から 4 km ほど離れた Lõõtsa 6 でミーティングです。 Technopolis Ülemiste というイノベーティブ企業が集まるところで、週1回はイベント・カンファレンスが行われています。 今後の予定では、 Game Jam Tallinn in EUAS というハッカソンもありますし、 Open lecture: Agile strategy execution という講義形式の勉強会もあります。 1階には飲食できる場所もあります。

 

Lõõtsa 6 内部

VAREGER はこれまで数多くのブロックチェーンに関する開発を経験しており、 GEO Location、ゲーム、銀行、トレード、不動産など分野も多岐に渡ります。 ブロックチェーンには Ethereum も Bitcoin も用いたことがあるそうで、 開発言語は NedeJS と Java が多いそうです。 Java は金融機関向けの開発で使っているとのこと。

 

会社には、もちろんブロックチェーンのエンジニアが複数人いるのですが、フロントエンドやスマートフォンのエンジニアもいるそうです。 React や Angular も使ったことがあり、 スマートフォンアプリのプロトタイプをIONICを使って作ることもあるんだとか。

 

ブロックチェーンテクノロジーに長けた VAREGER が手がけた開発の中には最後のリリースまでたどり着かなかったものもあります。 投資家・依頼元が出す投資資金がなくなることがあるそうで。 単純に請負で作るサクセスストーリーばかりでもなさそうです。

 

スマートコントラクトの開発経験が豊富というだけでなく、ブロックチェーンの使い道についての知見も多いため、 Inspiart の開発では頼りになりそうです。

 

VAREGER と EYS メンバで撮影

エストニアは人口が130万人と、商圏としても小さいです。 そのため VAREGER も AGILEWORKS も、 国内のみならず、 EU内の他国やアメリカ合衆国といった外国の案件も多くこなしています。 ヨーロッパの小さい国ということもあり、すぐ隣が外国です。

 

掲載した写真は寒さを感じる写真とオフィスの写真ばかりで、 エストニアっぽさが一切出ていませんが、それなりにエストニアも体感してきました。

 

1日目のエストニア料理です。

 

有名レストラン、オルデ・ハンザにも行きました。 地震もありませんから、昔の建物をそのまま使ってレストランを経営しています。

 

ビールと蝋燭(ろうそく)

真冬の寒い夜でしたが、旧市街は予想に反してライトアップされており、人通りも予想以上でした。

 

ライトアップされる旧市街
1月後半でもクリスマスツリー

エストニアでのオフィス設立も進めているEYSで働きたいエンジニアがいたら、是非エントリーページよりご連絡ください。

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大塚 健司
京都大学理学部卒業 2009年 SIer会社にて大手商社システム、医療系システムなどの開発を担当。 2013年 株式会社EYS-STYLE入社。Rails を使用した社内システム及び SNS を開発。CIサーバ、メールサーバ、Webサーバなどインフラ構築も行う。 その後、 株式会社ぐるなびにてサーバ、スマートフォン、ウェアラブル端末の開発、オープンソースのプロジェクトへの参画、appArray株式会社にて発音認識、機械学習等先端技術の導入、サーバチームのマネジメントを経て、2016年に株式会社EYS-STYLE 取締役CTOに就任。

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